ここからは、
イメージ描画法の開発史や原理、
また4つのステップの進め方を詳しく解説します。 
イメージ描画法に興味のある方はぜひお読み下さい。


意識と観念との関係性を改善するイメージ描画法
イメージ描画法は「いまの自分の思い」と「その思いに影響を与える観念」との関係性を改善するための技法です。このイメージ描画法がアプローチする対象は、観念そのものではなく、観念を受け止める「私達の意識」に対してアプローチしていきます。


イメージ描画法
その仕組みの鍵となった子供たちのひらめき
このイメージ描画法は「子供たちにおけるアートセラピーの研究」から派生したものです。ですから最初は、子供達のためのアートセラピーの様子からお話します。
 
小さな子供たちも、怪我や病気で大きなストレスを抱えます。 また両親の不和や、身近な人の喪失体験によっても心はダメージを負います。 もちろん兄弟や友達とのいざこでもストレスが発生します。
 
けれども多くの子供たちは、自分の心に何かが起きているのか、 自分がどんなダメージを受けているのかを言葉で語ることができません。 自分自身でさえ心の中で起きていることを理解しきれていないからです。
 
このようなときに、アートセラピーが子供たちに癒しをもたらすことは広く知られております。 紙とクレヨンなど画材を用意しておき、遊びの中で絵を描けるようにしておきます。 子供たちに絵を描くことを強制したりはしません。 子供たちは積み木遊びや追いかけっこもします。 そして気が向いたときに絵を描き始めるのです。 どんな絵をどのように描こうと一切自由。 セラピストはそれを見守ります。 本人が話してくれるなら、どんな絵を描いたのかを傾聴します。

  
   

一見元気そうに遊んでいても、子供たちの心がダメージを回復させるには時間がかかります。 週に一度セラピーの時間があっても、ダメージの回復には2~3か月、あるいはそれ以上の時間を要します。
 
心のダメージが回復していない間の子供たちの絵は、暗い色彩でどんよりとしたものであったり、その反対にとても激しく書き殴られていたり、また形が大きく崩れているのようなものもあります。 いずれにしても「心の統制」が取れているような描き方ではありません。そのような絵を描く期間がしばらく続きます。



そんな絵を何枚も書き続けていると、ある日
「あっ!」という子供の叫びが聞こえる瞬間がやってきます。
 「この怖いやつをチョコの壁で囲っちゃえばいいんだ!」
その子の心の世界だけで通じる「奇想天外なひらめき」です。

   

この「ひらめき」が生まれる瞬間こそが、統制が崩れていたイメージの世界が一変する瞬間であり、 子供たちが現実の世界における活力を取り戻す瞬間でもあるのです。
 
このように「不安なイメージの世界を一機に好転させるひらめき」を得ることができた子供たちは 、恐れや不安に打ち勝つ自信を手にいれたかのような表情を見せ始めてくれるのです。 


この子供たちの体験は、私たちに次のような可能性があることを教えてくれました。
 
「イメージの世界において、ダメージを受けている状況を好転させるような"ひらめき"を得ることができるなら、人は現実の世界での恐れや不安にも打ち勝つ可能性がある」
 
ちなみに、そのような「ひらめき体験」を経た子供たちは、それ以降に描く絵のタッチが変わります。 描くものの配置や色合いは、意識的にコントロールできている絵になっていきます。



 子供たちの経験から得た開発の課題
 
「この子供たちのひらめき体験を、大人も含めた多くの人が体験できるようにならないか?」
 
そんな思いを持ったことが、イメージ描画法の開発に取り組む動機となりました。そこで、イメージ描画法の開発チームは次の課題を設定し、その答えを一つづつ模索することとなりました。
 
●悩みを感じているときの心のイメージを浮かび上がらせて、それを絵で表現することはできないか?
●絵の苦手な人でも簡単にできる方法はないか?
●そのイメージの世界観や物語(文脈)を明らかにすることはできないか?
●その世界観や物語を、自分にとってより良いもの、より心地よく感じるものへと、瞬時に「転換」させることはできないか?  
●子供たちが得たような「ひらめき」を、大人にもひらめかせることはできないか?
●仮に「ひらめき」を導きだすことができたとして 、果たして大人でも心のダメージが回復したり、悩みから抜け出す自信や力を得ることが実際にできるのか?
 
 結論から申せば、これらの課題には実現可能な答えがみつかりました。 その答えを可能な限りシンプルにし、効果を高めるべく、 5年の間の研究と検証を行うことよって、イメージ描画法は「独自の技法」を形にすることができました。

 
 

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